医療法人ウッドメッド会 森永上野 胃・腸・肛門科

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「川辺川ダム予定地見学」に参加して

2002.12.05

 さる11/3~4の連休に、保団連主催の公害視察会「川辺川ダム予定地見学」に行って参りましたので、その報告をさせて頂きます。
 現地では、水没予定の五木村頭地地区まで行きましたが、地区住民はじめ役場まで川面から、上方100m位の造成地に移転。水没地区には、五木東小学校があるのですが、これが古くて素晴らしい。福岡県甘木にもこんなのがありましたが、それより古いらしい。なにせダムの計画があって、40年間と言うもの、公共の施設は移転するんだからと、補助金が出なかったそうです。この小学校も築60年を越え・・・、結果として、古いまま残ったようです。


ダムの目的

 利水・発電・治水で国は住民を攻めたてていますが、利水は、目的の高地には既に灌漑が行き渡り、立派な水路がありました。農民はもう有料の水などいらないと・・・・。「やるなら、ダムの水に色を付けろ。色のついた水は使わん」・・・。

 発電も、これが出来ると他の小さな発電所が取り入れ口がなくなるんでしょう、廃止になるそうです。そうすると、発電量はむしろ少なくなるそうで、一体どうなっているのでしょう・・・・。

 治水、これも怪しくて、80年に一度の大雨でも大丈夫とか・・・。じゃー100年に一度の大雨はどうなるのか。結局100%防げるわけではない。しかも、40年前の木材を伐採しつくして、戦後の住宅難を乗り切ってきた時と違い、今や、山には緑が戻り、緑のダムもかなりの規模。加えて、1965年の水害は、むしろ市房ダムの無計画な放流により被害がひどくなったという話し。(これは国は認めていないらしい。)また、実際に水害で亡くなった方はそう多くないという。多くは崖崩れなどによる被害だったようです。

 極めつけは、農民の利水訴訟でわかった事です。4000名の該当地区農家の2/3の同意を取って、工事は着工との事でしたが、なんと、その中にたくさんの、自筆でない署名が多い事、自分の印鑑でない捺印。さらに既に死亡した方の署名まで・・・。一番ひどいのは、大正時代に亡くなった方の署名もあったようです。そして、またさらに、最後にコピーしかもらってない弁護団に渡されていた署名簿をみると、同意する・同意しないに○をつけるところが抜けている人がいた。そこを担当役人に聞いたら、「薄くて写ってないのだろう」と・・・・。かくして、「原本を見せろ」と言う事になり、裁判が始まって、8年もたった今年、やっと原本を閲覧することが許可された。確かに該当者は、○が薄くついてる。そこまでは良かったのだが、逆に、署名を砂消しや修正液で消しているものが多数発覚。なんとずさんな・・・。

現に、今回の訴訟でも4000名中2/3が同意した事になっているのに、訴訟原告団は2100名となっている。治水・利水・発電以前の問題・・・。これに、付帯工事も含め4000億円だそうです。呆れてしまいました。

この現実を一人でも多くの人に伝えたい

 視察後に人吉市内で講演2題。関係者、マスコミも含め100名近くの中で行われた。球磨郡医師会長の緒方先生、人吉市医師会長の竹田先生、副会長の岡先生も御出席頂き、盛大でした。感謝致します。

 「この地区の医師会員もたくさん反対者がいるが、何せ地区が狭くて関係者もおり、表だって反対の表明が出来ない」と言う複雑な実情らしい。五木村長の、我々の37年の苦渋の決断もわかる。八代市長の力強い反対していく姿勢には感激。弁護団の森弁護士のお話も具体的でした。普段の不勉強に恥じ入りました。

 感情論では物を言ってはいけませんが、加えて、自然の豊かな事、熊鷹の唯一の生息地、日本一の清流、尺鮎、有明海の肥沃化の阻害、などなどあー勉強にもなった。来年の夏はここで泳ごうかナー。ダム本体工事が始まったりして・・・。一体、国家とは何なのでしょうか??

 今後、最後までネットやあらゆる媒体を通じて、この実情、事実を世に知らしめなければなりません。

また、中島八代市長に続き、11/10には、仲間の幸山政史熊本新市長の誕生。今後のダム建設阻止への影響も期待が持てそうです。

幸い、ビデオの販売もあっています。広く世の中の人に観て頂きたい作品です。


資料ビデオの販売(1500円送料別 事務局まで)

 「ダムの水はいらん」 (東京ビデオフェステイバル2002大賞受賞作品)

熊本保険医新聞12月5日号より