医療法人ウッドメッド会 森永上野 胃・腸・肛門科

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確かな腕とフットワークで 専門性とかかりつけ医の両立をめざす

2000.11.01

~患者さんの立場からみたこだわりの診療所づくり~

 「タクシーの運ちゃんが止まる、ラーメン屋のような診療所になりたい」これが院長の目指す診療所の姿だ。

“森永上野 胃・腸・肛門科”は、熊本市内にある14床の有床診療所である。

 まず玄関に足を踏み入れると、新鮮な驚きを受ける。広々とした待合室のホールには彫刻が並び、生け花やオブジェがバランスよく飾られ、熱帯魚も観賞することができる。まるで美術館のようである。ホールの横には、ガラス越しに眺めることが出来る中庭が作られており、スペースを実に贅沢に使っている。これらはすべて院長の患者さんの心を和ませるためのアイディアであり、待合室だけでなく診療所内のいたるところが、患者さんの立場を考えて作られている。

 たとえば、診療所では隣の診察室に声が聞こえないように完全に個室になっている。「たいていの病院の診察室と診察室は薄いパーティクルで仕切られていることが多く、上があいており、話が筒抜けになってしまうんです。肛門科なので、お尻を患った女性も来ますので、隣に話が聞こえたら嫌じゃないですか」と院長。

 女性に対する配慮には特に気を使っており、検査も男女を分けるようにしている。

 また、14床はすべて個室となっており、全室電話、冷暖房、テレビ、バス・トイレ付き、カーペット敷きの部屋もあり施錠も可能だ。病室と言うよりもシティーホテルのようだ。至れり尽くせりのこの個室が、差額料のある最も高い部屋で3800円。噂を聞きつけて遠方から人間ドックに来る人もいるそうである。

 また、BGMを聞きながらリラックスできる回復室。それからレントゲン室には、冷たい雰囲気を和らげようと、壁いっぱいに描かれた南国の花。随所にみられる細やかな気配りには脱帽する。きっと女性にもおモテになるに違いない。

 「開業するんだったら、徹底的に、やってみたいと思うことを実現しようと思ったんです。」と院長は言う。ここでは、館内放送はいっさい流さない。看護婦が患者さんのところへ行って「○○さん、一番にお入りください」と言って誘導する。○○様、とは言わないのも、患者さんに媚びる必要はないという院長のこだわり。1日に100人以上も患者が来るこの診療所では、かなり大変なことである。しかし、患者さんとの距離をなくすことは大事なのだという。

高い技術と効率的な診療方針
 森永上野 胃・腸・肛門科は、専門性とかかりつけ医の両立を目標としている。消化器外科を専門とする一方、かかりつけ医として、いろんな疾患の相談窓口としてひと通りのアドバイスができるようにしている。専門の内視鏡的治療、とくに大腸ファイバースコープには特に力を入れており、\"痛くない、きつくない\" 高い技術を誇っている。手術も土日を除いてほぼ毎日行っている。癌の患者さんも大きな病院に行きたがることはなく、院長の手術を希望するという。

 ここまで高機能化し、内視鏡をこなし、手術も行うという診療所は全国でもあまりないであろう。

 院長は今、厚生省に腹立たしく思っていることがあるという。なぜ急性期・慢性期の区別ではなく、単にベッド数19床で医療機関を区別するのか。有床の診療所こそフットワークのいい地域密着型の医療施設であることがまったくわかっていない、ということだ。

 事実、森永上野 胃・腸・肛門科は、大病院にはないアットホームな雰囲気と効率のよさで、患者さんの安心と信頼を得ている。

 「患者さんに認められる医療はもちろんですが、患者さん離れがいい病院にするのもモットーですね。手術をしたら1週間~10日くらいで治ってもらって、どんどん出ていってもらう。患者さんを抱え込まないことです。もう一つは、自分のところだけで仕切らないこと。自分が手に負えないと思ったものは、専門病院にすぐ送る。診診連携、病診連携も積極的に行っています。」

向学心と上昇志向
 向学心が旺盛な院長。学会にも活発に発表している。「気持ちを常に上昇角度で上向きにしておかないと自分自身も上がっていかない。そういう姿勢を持っていたい。前向き指向でないとだめだと思うのです。看護婦たちにも、たとえばお花の免状をとったりとか、自分で勉強できるものは何でも勉強しなさいと言っています。自分自身が高まるということは病院のためにもなるので、うちではそんな資格にも手当を出しています。」と院長。

 仕事以外でも実に多趣味な院長だが、なかでも男声合唱はこの多忙な日々のなかでなるべく週2回練習に行っているという。

 「すごく楽しいですよ。歌を歌うというのは人間がものすごくリラックスできるんですね。ストレス解消になる。ほうてでも(熊本弁で \" 這ってでも\" )いきます。」と張りのある通った声で話す。「私は60歳になっても若いと思われるような医療をやりたい。人にありがとうと言われる職業なんてそんなにないですよ。僕はそういう仕事に就けたことをものすごく誇りに思っているし、毎日が楽しいです。自分に人の病気を治せるお手伝いができるということがね。」 気軽に入れて、中身は充実、満足できて、また来ようという診療所。まさに知る人ぞ知る、絶品のラーメン屋のような、森永上野 胃・腸・肛門科である。

 医療の未来を考える情報誌 \"ふゅーちゃー\"

   No.35 2000.11月号より